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身体からのトラウマケア:「TRE」体験記

更新日:2020年5月26日


ヨガっぽい女性

ごぶさたしております。いつの間にか梅も咲いて、春の気配ですね。


今回は身体からトラウマ治療を試みる方法「TRE」を体験してきたことについて書いてみたいと思います。



TREとは


TRE」は「 Tension & Trauma Releasing Exercise」の略で、日本語訳は「トラウマ解放エクササイズ」とのこと。


人がトラウマティックなストレスに晒されたときに収縮し、そのままになってしまっている筋肉を、意図的に振動させることによって弛緩させ、緊張を解きます。


脳と身体の接続を逆用して、身体に変化を与えることで脳に働きかけようとする方法のようです。


詳しくは普及団体「TFA-JAPAN」のサイトの説明を読んでみてください。


私がこういった手法に関心をもったのは、年明けから『身体はトラウマを記録する』を読んでいるからです。





本書は、トラウマティックな体験が脳や身体の機能に与える様々な悪影響について、脳科学の知見をふんだんに盛り込んで解説しています。


そして、身体面からトラウマを治療する方法がたくさんあることを、かなりの頁数を割いて紹介しています。


トラウマ治療に関して、私はこれまで「EMDR」や「スキーマ療法」など、脳のはたらき(記憶や認知、信念の状態)を直接的に改善する類の方法を試してきました。




脳も身体の一部であるという意味では、それらもまた身体へのアプローチではあったのですが、新しい年にあたり私が「やってみよう!」と思い立ったのは、そのものズバリ、首から下の身体を使って頭(脳)へアプローチする試みだったのです。



「TRE」をやってみた経緯


実は、私が今回TREという方法を選んだのは偶然です(上記の青い本にはTREは紹介されていません)。


実は、『身体はトラウマを記録する』を読んで、「試してみたいなあ」と感じられた身体経由の方法が私には二つありました。


それは、「リズム」と「演劇」です。


本書には、内戦でトラウマを負った人たちに音楽的なリズムがもたらした治療的効果や、アメリカの貧困地域で暴力のもと育った子どもたちに演劇を通じたセラピーがなされる様子が紹介されていました。


私は日本で「リズム」や「演劇」を通じたトラウマケアをできる場所を探しましたが、適当なところがなかなか見つかりませんでした。


そして、3時間のグーグル検索の末、最後の最後にたどり着いたのが「TRE」だったのです。


先に書いたとおり、TREは「振動」を通じた身体アプローチです。「リズム」ではありません。


しかし、ここで私の「中2病」的な部分がムズムズしました。


「”振動”、かっこよくね?」


「ジョジョっぽくね??」


(註:私の好きな漫画『ジョジョの奇妙な冒険』には主人公の持つ特殊能力として「波紋」や「回転」が登場します。)





そんな、トラウマ治療の方法を選ぶにしては軽い理由で、私はTREの個人セッションに行ってみることにしたのでした。


ちなみに、今回お世話になったのはこちらです。



サイト名が既にステキですね。


「個人セッション」と書きましたが、初めてのところに一人で行くのは苦手なのと、二人で行っても料金が変わらなかったのとで、妻について来てもらいました^^;


当日は2時間ほどのセッションで、大腰筋に「振動」を起こすための基本的な準備(ストレッチのようなもの)を習ったり、今後自分で行うにあたっての注意事項について説明を受けたりしました。


そうそう、「TRE」で私が「いいなあ」と思うのは、やっぱり「自分でできる」という点です。そこはスキーマ療法と同じです。


私はトラウマティックな生きづらさをもつ人たち(仲間たち)には、1秒でも早く楽になってほしいと思います。


トラウマ治療へのアクセシビリティ(利用のしやすさ)が上がってほしいです。


牛丼と同じですね。「早い、旨い、安い」。そうなってほしい。なるべき。



1ヶ月経った変化と感想


私が「TRE」の体験セッションに行ったのは1月の終わりごろです。これを書いている時点でちょうど1ヶ月経ちました。


体験時、「TRE」を自分で行うのは週4日くらいまでに留めるように、と言われていました。


そこで、体験の日を含めて4日間続け、その後3日間休んでみました。


最初の4日間でいちばん顕著な変化は、頭がギュルンギュルンになった感じがして、眠ると夢をたくさん見たことです。


私はもともと悪夢を3本立てくらいで見る方だったのですが、最近はそれが減ってきていました。


「TRE」を始めた直後、再び夢を3本立てで見るようになりました。


面白かったのは、それが悪夢ではなくなっていたことです。


その後、TREを2~3日続けては4日休む、のようなペースでゆるゆると続けてみました。


2月の中旬ごろになり、私はもう一つの大きな変化に気がつきました。


それは「アダルトチルドレンの私」あるいは「生きづらい私」は「私の中のこの部分なんだな」と、視覚的なイメージで分かるようになったことです。


これまでは、私という人間全体がアダルトチルドレンで、生きづらい、というイメージでした。「私=生きづらい」でした。


「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)」の用語でいうと、「私」と「アダルトチルドレン」や「生きづらさ」が「フュージョン(融合)」していたような感じです。


アダルトチルドレンの私が、私という人間のコックピットに座って舵をとっていたような感じ、とも言えるかもしれません。


それが、ACT的に言うと「脱フュージョン」した感じがあるのです。


「生きづらい私」が、私という全体の右上の方にある丸い一部分として、対象化してイメージできるようになりました。


その部分を隠していたモヤのようなものが振動とともにサーッと引いて、その去ったあとにくっきりと「つらい部分」「傷ついた私」がいるのが分かる、みたいな。


だから、「ああ、この部分を癒やせばいいんだな」とハッキリした感じがするのです。


この感覚の変化は私にとって大きなものでした。


ちなみに、一緒にTREを体験した妻にも、上記の「頭がギュルンギュルン」「夢を見る」「生きづらさが部分として浮き出る、対象化できるようになる」という(主観的な)現象が起きたようです。


それから私の場合、大腰筋だけでなく右腕や横隔膜もよく振動します。


横隔膜が振動すると、怒りや悲しみを感じることもあります。また、笑えてくることもあります。


科学的根拠はありませんが、今まで然るべきときに然るべく感じてこなかった怒りや悲しみ(そして喜びも)をようやくリリースしているのかなあと思ったりもします。



但し書き


「TRE」はそれ単体でトラウマを治療できるものではありません(医療に代替できるものではないです)。


また、私は現在TREを続けながら、並行してスキーマ療法や「プロセス指向心理学」のプロセスワーク、認知行動療法やホ・オポノポノなどを自主的にやっています。いわば「セラピーの多剤大量投与」状態になっていて、どれがどう効いているのかいないのか、判別つかないところもあります。


上記のTRE体験後の「変化」も、それがTREによるものなのかは定かではありません。


そもそも、TREはトーク・セラピー(カウンセリングなど)とは異なり、特定のトラウマを狙ってどうにかするものではありません。


個人的には「何か楽になった感じはするので、きっと意識のバックグラウンド(脳や神経)で変化が起きているんだろうなあ」くらいに思っています。



まとめ


ここまで読んでいただいてありがとうございます。


このTRE、主観的には劇的な効果はないものの、おもしろい変化があったり、楽になった感じも確かにあったりするので(大きな害もいまのところないし)、今後も続けてみようと思います。


また、今回お世話になった「自由動きたい.com」さんでは「5リズム」というコンテンポラリーダンスのような方法もやっているとのこと。「リズム」!きたこれ。


ということで、今年のテーマ「身体面からのトラウマケア」、また新展開ありましたらご報告いたします。







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