オープンダイアローグで、支援機関までの ”ラストワンマイル” をつなごう

最終更新: 5月27日




自分一人ではどうにもできないような困りごとがあるにもかかわらず、病院やカウンセリング、相談支援センターなどの「専門的な支援機関」を使えずにいる方がたくさんいます。


ここには「支援機関までの ”ラストワンマイル” がつながっていない」という課題があります。


困りごとを抱える人と専門的な支援との間の、最後の1マイル。これを埋めるのもまたオープンダイアローグだと、私は思います。



必ずしも支援が足りないわけではない


困っていることがあるにもかかわらず専門的な支援機関を使えずにいる方は、「ひきこもり」と呼ばれている人たちや、発達障害、精神疾患のある方に多いです。


加えて、その親御さんもまた「相談に行く先がない」と言って困っていることがあります。


「国による施策が不十分」と言う方もいらっしゃいます。


確かに、たとえば「ひきこもり」の専門的な支援機関である「ひきこもり地域支援センター」の数は、全国で約80ヶ所です。各県に1~2ヶ所とか、大都市にひとつとか、そのような状況です。


他方で、「使える制度」は増えてきてもいます。


「ひきこもり」でいえば、厳密に「ひきこもり」状態にある方を対象にした支援施策以外にも、使えるものがあります。


精神疾患もある方であれば「精神科医療」や「障害福祉サービス」の対象になります。


さらに「生活困窮者自立支援法」や「子ども・若者支援」という制度の中のサービスも、多くの場合で使うことができます。


ハローワークなど一般向けの雇用支援制度や、民間のカウンセリングルームを利用できるのは、言うまでもありません。


「障害福祉サービス」「生活困窮者自立支援法」「子ども・若者支援」といった各制度の中には、それぞれ「相談支援センター」「居場所」「就労支援」などのサービスがパッケージ化されています。


これほど多くの施策がすでにあるにもかかわらず、「支援を使えない」「支援が足りない」と言われている。


そこには「支援機関までの ”ラストワンマイル” がつながっていない」という課題があります。



支援機関までの「最後の1マイル」が切れている

「ラストワンマイル」とは「最後の1マイル」という意味です。


せっかく家のすぐそばの電柱まで電気が来ているのに、最後の最後、電柱と家との間の電線が開通していないために、電気が使えない。


それと同じような状況が、専門的な支援についても起きているのです。


「相談センター」という「家のそばの電柱」までは、「専門的な支援」という「電気」が来ている。


でも、当の困っている人やご家族と相談センターとの間の最後の1マイルが開通していない。


だから家の中には電気がないまま、つまり「支援が使えない」「支援が足りない」ように感じられるのです。


では、どうして「困っている人」と「支援機関」との間の「最後の1マイル」は開通していないのでしょうか。


これにはいくつかの理由があります。


最大の理由は、困っている人のほうが相談センターまで行かなければならない制度になっていることです。


電気であれば、電力会社がお家まで電線を引いてくれ、電気が家にやって来てくれます。しかし、「専門的な支援」では多くの場合そうなっていないのです。


(とはいえ最近は、「アウトリーチ」と言って、支援者が困っている人のところまで出向くという考え方が少しずつ広まってきています。)


私が注目したいのは、もうひとつの理由です。


実は、困っている人やご家族の多くは、支援機関に行ったことが何度もあるのです。


そして、そこで「分かってもらえなかった」あるいは「たらい回しにされた」という経験をして、支援機関を利用することが怖くなったり、あきらめてしまったりしているのです。


「ラストワンマイル」は開通していないのではなく、切れてしまったと言ったほうが正確かもしれません。



タテ割りの制度を使いこなすのは難しい


「ラストワンマイル」が切れてしまうこということは、どうして起きるのでしょうか。


それは、たくさんある制度がそれぞれ「タテ割り」だからです。


「タテ割り」というのは「その制度を使っていい人」があらかじめ決まっているということです。


「その制度を使うには、自分がその制度のイメージする対象に当てはまることを認めなければならない」と言ってもいいかもしれません。


「ひきこもり支援」の対象は「ひきこもり」です。


「生活困窮者自立支援」の対象は、「生活に困窮」していて、まだ「自立」していない人です。


「精神科医療に行けば「患者さん」になります。「障害福祉サービス」を使うと「障害者」です。


タテ割りの制度を使うとき、人は何らかの「枠」や「カテゴリー」でくくられてしまいます。


それらが「レッテル」「スティグマ(烙印)」としてはたらき、支援制度を使うことで自尊心が傷つく体験になることがあるのです。


困りごとや病気や障害があっても、「わたし」は「わたし」なのに――。



また、そもそも「困っている人」にはさまざまなお困りごとが同時並行であることが多いです。


たとえば、発達障害があって、ひきこもっていて、少し精神的な不調もある、30歳の方がいるとします。


親御さんとの間に気持ちの葛藤もあって、むかし学校でいじめられたこともあって、怒ったり悲しかったりする気持ちをずっと抱えたままです。


自分の好きに使える収入はありません。親御さんもこの方のことを心配しています。


このような場合、この方や親御さんはどこに行くことが正解でしょうか。


精神科病院でしょうか。カウンセリングでしょうか。


障害者相談支援センターでしょうか。それとも生活困窮者自立支援法の相談支援センターでしょうか。


これを困っている人や親御さんが自分で判断して、自力で「正解の窓口」にたどり着かなければならないのが現状なのです。


ところが、この場合「正解の窓口」は存在しません。


というのは、この場合の「正解」は「困りごとと自分の希望に応じて、各窓口を使い分ける」だからです。


精神的な不調については、精神科へ。


気持ちの話は、カウンセリング。


就活に関しては、障害福祉サービスの就労支援ではなく生活困窮者自立支援の就労支援を使おう。


そのような使い分けを、困っている人自身が自力で行わないといけないのです。


この「使い分け」がうまくいかなかったとき、つまり「制度」と「相談した困りごと」がズレたとき、「分かってもらえなかった」「たらい回しにされた」という体験が生じます。



「ケアマネのケアマネ」がいればいい


困っている人自身が制度を使いこなすのは、とても難しいです。


これは、福祉の世界では古典的な問題です。


その対策として「ケアマネジメント」という手法が生まれました。介護で「ケアマネさん」ていますよね。あれです。


「ケアマネさん」は「ケア(の制度)」の「マネージャー」です。どのサービスをどの程度使うか、その量や組み合わせをいい塩梅にする役割です。


問題は、いまや「ケアマネジメント」すらタテ割りになっているということです。


「精神科医療」「障害福祉サービス」「生活困窮者自立支援」などの各制度内に、それぞれ「ケアマネさん」的なポジション(相談支援センター)があります。


しかし、彼らがマネジメントするのは、基本的には、その制度の中に存在するサービスのみです。


たとえば、障害者の相談支援センターに行って、就活の相談をすると、そこで紹介されるのは障害福祉サービスの中の就労支援メニューです。


障害福祉サービスのヘルパーさんを使っているけど、就活は生活困窮者自立支援の枠組みを使いたい。居場所サービスは子ども・若者支援のがいいな。


そんな希望をマネジメントしてくれる制度は、基本的にありません。自力で使い分けることになります。


そう、「複数の制度をまたいでマネジメントしてくれるケアマネさん」が見つからないのが「ラストワンマイル」問題の原因なのです。


いわば「ケアマネのケアマネ」さんを見つけること。これが「ラストワンマイル問題」を解決する方法だと、私は思います。



オープンダイアローグで”ラストワンマイル”がつながる


支援機関までの「最後の1マイル」を開通させるには、どうしたらいいのでしょうか。


ひとつは、各制度ごとに存在する「相談支援センター」の相談員さん(ケアマネさん的な役割の人)を、もういちど信じてみることです。あるいは、信じられる相談員さんに出会うまで、あきらめないということです。


これはとてもしんどい提案ですが、私がこのアイデアを排除しないのには理由があります。


現場の相談員さんの中には、タテ割りの制度に縛られながらも他の制度の支援機関とのコラボ(連携)を意識して仕事をしている方が、少なからずいらっしゃいます。私はそのような方々をたくさん見てきました。


そのような支援者との出会いにもういちど賭けてみるというのも、一つの手だと思います。


そのような「賭け」はもうしんどいという場合は、どうぞ「相談室おうち」にご連絡いただけたらと思います。


「相談室おうち」は、上に挙げたような複数の制度の中で働いた経験を持つ相談員(ソーシャルワーカー)によって、あえて「制度に縛られない民間の相談室」として開設されました。


それは「ケアマネのケアマネ」をすることで「支援機関とのラストワンマイル」を開通させ、「分かってもらえなかった」「たらい回しにされた」をなくしたかったからです。


その際「オープンダイアローグ」を採用したのも、それが「お困りごとの種類にこだわらず、どんな話でも聴く」ことを自らに課し、「たらい回し」を禁じることを原則にしていたからです。


「相談室おうち」自体は世界最小のオープンダイアローグ支援機関であり、自力でできることはそれほどありません。


しかし、皆さんがオープンダイアローグを通じて私たちとつながることができれば、私たちを通じて、皆さんは、日に日に充実しつつある公的な支援を活用できるようになります。


皆さんと、支援機関との間にある「ラストワンマイル」。それをオープンダイアローグでつなぎたいなと思っています。


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