「家族会議」するならオープンダイアローグで安全に

最終更新: 6月17日


オープンダイアローグ発祥の地(2016年7月)

少し前、「『家族会議』のすすめ」という連載記事を読み、とても感動しました。


定期的にミーティングを開いて、お互いの気持ちや将来のイメージについて話し合っている家族たちがいるというのです。


しかも、トラブルが起きてから慌てて集まるのではなく、むしろ日頃の家族関係のメンテナンスとして、「家族会議」を行っているようなのです。


そのような場を持てる家族でいられるだけで「すごい!」と思います。


他方で、すでにそのような関係性ではなくなってしまっている家族は、どうしたらよいのでしょうか。


関係を修復しようにも、話し合える関係でなくなっているのですから、不安が募り、疑心暗鬼になって、つい強硬な手段を選び、取り返しがつかなくなることもあるかもしれません。


そんなとき、オープンダイアローグをするという選択肢を思い出してほしいです。



力関係があると話し合いにならない


そもそも、家族メンバーが自前で「会議」を開くことには、いくつかの難しさがあります。


「力関係」と「感情」という要素があるからです。


「力関係」は、大人(親)と子どもとの間に特に強く生じやすいものです。他には、男性(夫)と女性(妻)や、扶養者と養われている人との間にも生じます。


力関係があるところ(対等でない関係)では、弱い立場の人は安心して話せません。


「思ったことを話すと怖い目にあうのではないか」「口答えすると養ってもらえなくなるかもしれない」などといった心配があるからです。


このとき「家族会議」は、互いの気持ちを聴き合う対話(ダイアローグ)ではなくなります。


声が大きく力が強い人のモノローグ(独白)を、他のメンバーが一方的に聞かされる場となり、形骸化していくのです。


(『ドラえもん』のジャイアンのリサイタルに参加させられている、のび太やしずかちゃんを想像してみてください・・・。)



強い感情があるときも話し合いは困難


「感情」についてはどうでしょう。


「感情」はそれ自体、悪いものではないのですが、取り扱いがとても難しいです。


家族メンバーは、互いを強い感情のターゲットにしていることがあります。


「家族会議」の場で、強い感情をダイレクトに向けられ、ぶつけられると、受け手側は自分を守ることで忙しくなり、相手の感情(気持ち)に耳を傾けることが難しくなってしまいます。


感情をぶつける→ぶつけられた側が自分を守る(言い返す、否定する等)→気持ちを受け止めてもらえなかったと感じ、さらなる強い感情が生まれる(怒りや悲しみ)→それをぶつける→以下繰り返し、となります。


このように、家族メンバーだけで「家族会議」をするのはとても難しいことなのです。



オープンダイアローグで家族会議をするという選択がある


このようなとき、「オープンダイアローグ」を使うと安全に話し合うことができます。


精神科の新しい治療法という印象も強いオープンダイアローグですが、もとは心理学の家族療法から生まれたもの。


家族療法は、家族という人間関係の中にセラピストが加わり、家族関係を変化させる方法です。「療法」とはいうものの、特定の「悪者」や「原因」さがしをしない、という特徴があり、オープンダイアローグでもこれを発展的に引き継いでいます。


セラピストの進行のもと、対話形式の「家族会議」を続けることで、結果的に家族関係がブレイクスルーしていきます。


「話をしているだけなのに・・・」と驚かれることもあります。


対話を続けることそれ自体から、家族のもつ自然治癒力が引き出される、というようなイメージが近いかもしれません。



「力の強い側」がオープンダイアローグを提案するとよい


オープンダイアローグの特徴のひとつは、「声の大きい人」「力の強い人」が生まれないような仕組みがあること。


すべての参加者に発言の機会が保証され、誰かが話している間は言葉をはさまず最後まで聴くことを皆で行います(「聴く」と「話す」を分ける)。


「力関係がある」「安心できない」ということを話題に出し、そのことについて全員で対話することもできます。


また、ふだんなら「言い訳」や「症状」とみなされているような話も、オープンダイアローグの場では「何かそうせざるを得ない理由があったこと」「その人から見た状況では必然性があったこと」として、耳を傾けられます。


もちろん、立場の弱い側からすれば、それだけで安心できるものではないでしょう。


私は、特に「力が強い」とされている側の人が、話し合いの方法としてオープンダイアローグを提案することに意味があると思います。


オープンダイアローグでは、全員の声が対等になります。


ということは、ふだん比較的「声の大きい」人の声は、ふだんよりやや小さくなります。反対に、そうでない側の声はやや大きくなると言えます。


ですから、力の強い側がそうでない側へオープンダイアローグを提案することは、ふだんの有利さを捨ててでも「対等に話したい」という誠意を、相手に伝えることになるのです。



感情はオープンダイアローグの中で聴き合おう


オープンダイアローグには進行役(セラピスト)がいるため、家族メンバーが感情を直接ぶつけ合わずにすみます。


他の家族メンバーとセラピストとの話を、眺めながら聴くような感じになります。


直接ぶつけられた感情から自分を守る必要がないため、「聴く」に専念できます。その結果、相手の事情や気持ちが見えてきたり、自分がどのように反応していたかを振り返ることができるようになったりします。


そのような状態から発せられたあなたの言葉もまた、相手にとって、以前とは異なる響き方をし始めることでしょう。



まとめ:オープンダイアローグはできるだけ早いうちに


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


実は、オープンダイアローグを行うセラピストである私にも原家族との葛藤がありました。


ですから、オープンダイアローグの存在を知ったときは、「自分が子どもだったときに、これがあればよかったのに・・・」と思わずにはいられませんでした。


同時に、「これからはこれをやればいいのか」と思い、未来が開けたような感じもしました。


家族関係が、話せなくなってしまう前に。


ぜひ「はじめからオープンダイアローグ」という選択をしていただけたらと、強く願います。


2020年のいま、皆さんにはそれができるのですから。


なお、現時点で他の家族メンバーをオープンダイアローグでの「家族会議」に招くのが難しい状況にある、という方もいらっしゃると思います。


そのような場合でも、そのお気持ちのある方がお一人いるだけでじゅうぶんと思います。


「家族会議の言い出しっぺ」のあなたと、私たち相談員とで、「どうすればご家族をダイアローグにお招きできるか」から、一緒に相談できればいいなと思います。


もちろん、ダイアローグで。


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