こんにちは、ふゆひこです。今日も読んでいただいてありがとうございます。
突然ですが、「I(アイ)メッセージ」って聞いたことありませんか?
たとえば、誰かから何か嫌なことをされたとき、「やめろよ!」と言うのは「 I メッセージ」ではありません。反対の「Youメッセージ」です。
「(お前はそんなことするのを)やめろよ!」というふうに、「お前=You」という主語が隠れているからですね。
人間というのは、いくら自分に非があっても、「Youメッセージ」で指摘されると素直に聞き入れることが難しい生き物のようです。
「やめろよ!」と言われたら、「うるさい!」と返したくなりませんか。
この「うるさい!」も「(お前は)うるさい!」なので「Youメッセージ」です。
すると相手も「なにおう!」となり、さらに「やるか!」と、コミュニケーションは負の連鎖に陥っていきます(ケンカです)。
Youメッセージの応酬は、どちらかが正しくてどちらから間違っている、ということが決着するまで続きます。
どちらかは否定されてしまうので、コミュニケーションとしては後味が悪いです。
Youメッセージで言われたとき、私たちはどうすればいいのでしょうか。
I メッセージ、大切。
そう、「 I メッセージ」で返せばいいんですよね。
例えばこのようになります。
「『やめろよ!』と言われて嫌だった。いきなりそんなこと言わないでほしい。」
ここには、
「『やめろよ!』と言われて(私は)嫌だった。(私は)いきなりそんなこと言わないでほしい。」
というふうに、「I=私」という主語が隠れています。
「Iメッセージ」で言われると、相手は「あ、そうだったんだ」となります。
「(言われたら嫌だということを私は)知らなかった、ごめんね」となります。
あるいは、「あんなこと」を言うに至った相手なりの必然性や理由のようなものが開陳されることもあるでしょう。
いずれにせよ、建設的なコミュニケーションがなされることになります。
Youメッセージは必要ない
このとき重要なのは、「やめてほしい」も「知らなかった」も、どちらも真実であるということです。
言った方と言われた方の、各々の主観的な真実です。
それぞれの個人の中にある、気持ちなどの主観的なものは、すべて真実です。
他人から「それは客観的には間違いだ」とか「それをそう感じるべきではない」などと言われる筋合いのものではないのです。
なので、「I(アイ)メッセージ」で話している限りは、ケンカ、つまり絶対的な正しさの覇権争いの起きようがないのです。
みんな真実なんですから、そもそも争う必要がありません。
私たちはそこで、互いの「真実」について知り合います。
実は、それがダイアローグ(対話)なのです。
気持ちをさかのぼって素直に話す
「I(アイ)メッセージ」で話せばいいのよ、とはよく言われますが、ではいったいどうすればできるのでしょうか。
私は、「Youメッセージ」を「Iメッセージ」に「翻訳」するには、「怒り」を「悲しみ」に翻訳するとよいと思います。
「Iメッセージ」の形をとっていたとしても、例えば「『やめろよ!』といきなり言われて(私は)嫌だった」という表現は、どちらかというと「怒り」に寄った表現です。
「怒り」というのは、「悲しみ」がちょっと発酵したものです。
「悲しみ」が大豆だとすると、「怒り」はお味噌やお醤油、納豆みたいなものです。
それを、加工される前の大豆のまま表現するとよいと思うのです。
「『やめろよ!』といきなり言われて(私は)嫌だった」とき、ではどんなふうに言われたらよかったのでしょうか。
もちょっとマイルドだったらよかった?
あるいは、何も言われたくなかった?
いずれにせよ、「どうされたい/されたくない」という願いがあったのではないでしょうか。
「願い」が叶わなかったとき、人間には「こうされたかった(されたくなかった)!」という気持ちが生じます。
それが「悲しみ」です。
「こうされたい」という「願い」が→そのとおりにはならず→「こうされたかった」という「悲しみ」が生じ→発酵して→「なんでこうしてくれなかったの!」という「怒り」(Youメッセージ)ができあがるのです。
この「気持ちの発酵」のプロセスをさかのぼって、なるべく素直な気持ちを表現すると、「You」が「I」に翻訳され、コミュニケーションが建設的に、円滑になるのではないかと、私は思います。
「それは誰の願いなのか」を考える
これは、私たちが人についお節介をしたり、よけいな口出しをしたりしてしまうときにも使えます。
なぜなら、お節介や口出しも「Youメッセージ」だからです(「(あなたは)こうした方がいいよ」とか)。
こうした、相手に頼まれてもいないのにするお節介や口出しは、私たちの「不安」や「心配」が発酵したものです。
例えば、私はアトピーを持つ妻に「(君は)こまめにシャワーを浴びて汗を流したほうがいいよ」などと「Youメッセージ」で「助言」をしてしまうことがあります。
妻としては、きっと「そんなこと言われんでもわかっとるわ!こちとらアトピー歴36年やぞ!できたらやっとるわ!それができんほどしんどいんじゃ!(怒)」と思っているのではないでしょうか・・・。
私は後になって「何か要らんこと言ったな…」と気づき、自身の心の「発酵過程」をさかのぼることになります。
「(君は)こまめにシャワーを浴びて汗を流したほうがいいよ」(Youメッセージ)
↓
妻がこまめに汗を流さないと、皮膚のアトピー症状が悪化するのではないか(私の不安1)
↓
アトピー症状が悪化すると、妻はつらそうな姿になるに違いない(私の不安2)
↓
妻がつらそうにしているとき、私はどうしたらいいかわからない(私の不安3)
↓
妻がつらそうにしているとき、私もつらい(私の悲しみ)
↓
私はつらくなりたくない、妻に元気でいてほしい、そのために何かしたい、できることがほしい(私の願い)
そう、私の言いたかったのは、つまりは以下のようなことだったのです。
「君が元気でいるために何かできることがあったら私はうれしい。しかし私はそれが何なのかわからないで困っている。だから私は君に助けてほしい。つまり私は君を助ける方法を教えてほしい。」
そう、困っていたのはアトピーの妻ではなく、彼女を助ける方法がわからない私の方だったのです。
会話のスピードを落とそう
問題は、「気持ちの発酵過程をさかのぼること」をリアルタイムで実行することが非常に難しい、ということです。
上に書いたように、私も実際はできていません。日々練習です。
当座の対策としてオススメなのは、コミュニケーションに時間をかけることです。
ゆっくりしゃべること。
その場で反射的に反応せず、ちょっと時間をおいたり、その場を離れたりして、「気持ちの発酵」プロセスをさかのぼる時間を確保すること。
手紙などの書き言葉でコミュニケーションをとるのも、当座の策としては有効だと思います。
自分の気持ちに気づく練習という意味では、「マインドフルネス瞑想」もオススメです。
マインドフルネス瞑想をすると、「あ、私いま怒っている」、あるいは「不安キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」と気づくことができるようになります。
また、いまの自分の気持ちに気づくまでの時間も段々と短くなっていくでしょう。
まとめ
ちょっと番外編ですが「言いたいことをいちど英訳してみる」というのも個人的にはすごくオススメです。
というのは、日本語には「主語をあやふやにする」という特徴があるからです。これを英語にすると、言おうとしていることが「Iメッセージ」なのか「Youメッセージ」なのか、はっきりさせることができます。
いずれにせよ、すべてのコミュニケーションが練習だと思って生活するとよいです。
そのとき、うまくコミュニケーションをとれていない現在の自分を、「ダメだ」とジャッジ(品評)しないことも、とても大事なことだと思います。
「ダメだ」もまた、私たち自身に対する、否定的な「Youメッセージ」なのです。
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