回復を早めてくれたものたち⑪ スキーマ療法

最終更新: 6月17日


オックスフォードの滞在先で(2018年6月)

私のリカバリーを加速してくれたものたち22選の解説(第11回)です。


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こんにちは、ふゆひこです。今日は「スキーマ療法」について書きます。



◆「スキーマ療法」とは


スキーマ療法」とは、私の言葉でいうと「認知行動療法の”深い”版」です。


「深い」というのは、心の中の「より深いところ」にアプローチできるというような意味です。


「認知行動療法」というのは、簡単に言うと「いやいや、それとは別の考え方もできるよね」と自分にツッコミを入れられるようになるためのセラピーです。


自分に「なんでやねん」。


これができないときは、「どうせ〇〇に決まってる!」と強く思い込んでしまい、それに従って行動するので、うまくいかないことが多いです。気持ちもつらいです。


認知行動療法によって自分にツッコミを入れられるようになると、一人で思いつめていたのとは異なる視野が開けてきます。


物事に対し、これまでと別の捉え方ができるようになることで、気持ちも楽になります。これまでとは別の、もっといい行動を選ぶこともできます。


その一方で、心(脳)には認知行動療法では届かない部分があります。


「無意識」や「トラウマ」がそれです。


そもそも、私たちは何故「どうせ〇〇に決まってる!」などと強く思い込んでしまう(歪んだ認知をしてしまう)のでしょうか。


それは、認知の歪みの奥底に、「だって俺は〇〇だから」という、より根本的な思い込みがあるからです。


この「より根本的な思い込み」を「スキーマ(信念)」といいます。


このうち、子ども時代に身に着けた、私たちの暮らしを不利な方へ追いやってしまうような宜しくないスキーマを「早期不適応スキーマ」と呼びます。


私たちは、普段の暮らしの中で「早期不適応スキーマ」の存在をほとんど意識しません。しかし、私たちの行動や選択は多分にその影響を受けています。


子ども時代に心理的虐待などのトラウマティックな体験を重ねていると、知らず知らずのうちに「だって俺なんか生きていてもしょうがないから」等といった「早期不適応スキーマ」が心に刻まれていることがあります。


その結果、「みんな私を嫌っているに決まっている」といった「歪んだ認知」を持つかもしれません。


つまり、「早期不適応スキーマ」がある限り「歪んだ認知」はそこからこんこんと湧き出し続けるのです。「生きづらい」系の人が認知行動療法だけではなかなか晴れやかな気持ちになりきれない所以です。


「スキーマ療法」は、この「生きづらさ」の源泉にアプローチすることのできる方法です。


私のようなアダルトチルドレンにとっては、「これだよこれ!」と叫びたくなるような出会いでした。



◆自分でやってみた


とはいえ、私は専門家から「スキーマ療法」を受けたことはありません。


かわりに本を読み、自分で自分にやってみました。


2014年、EMDRのセッションを始めたのと同じ頃に、私は『スキーマ療法入門』という本を買って読みました(きっかけは忘れてしまいました)。



スキーマ療法の日本での第一人者・伊藤絵美さんによる入門書です。


この本を読んで、私は「おおお俺のことだ!!」と思いました。


先程も書きましたが「これだよこれ!」と心の中で叫んだものです。


本書の理論面も私の長年の生きづらさを見事に腑分けし解説してくれているように感じられましたし、後半に掲載の支援事例も自分のことのようでした。


私は「スキーマ療法」を一刻も早く受けたいと思いました。


しかし、私は当時EMDRを受けていました。これ以上高価な心理療法を受けるわけにはいきません(私の通っていたところは医療保険がききませんでした)。


それ以前に、通える範囲内にスキーマ療法の専門家を見つけることもできませんでした。


しかし、本書のいいところは、自分でできるようにワークシートの書式が掲載されているところです。


私は「これなら自分でもできそう」と思いました。


さすが認知行動療法をベースにしているだけあって、スキーマ療法は自分で取り組みやすい構造になっており、そうすることが勧められてもいます。


この「無料で」「すぐに」できることも、私にとっては大きな魅力でした。


私は本書のワークシートをコンビニでコピーし、さっそく取り組んでみました。



◆大きな気分変調がなくなった


スキーマ療法の手順については上記の入門書や関連する本を読んでいただきたいと思います。






ここでは、体験してみた私の感想を書いてみます。


如実に変わったのは、周期的な気分変調が劇的に減ったことです。


私には長らく、些細なことをきっかけに気分がものすごく塞いだり猛烈なイライラに襲われたりして、仕事以外では誰とも口をきけなくなるという現象が周期的に起きていました。


それがいちど始まると1週間ほどは妻とすらしゃべることができませんでした。それが月に1回は起きていました。


(精確には、口を開くと妻に関係のない過去のことで妻にあたってしまいそうだったので、がんばって黙っていました。しかし、妻にとっては、同居人が何もしゃべらないのも、それはそれでつらかったようです。)


…と書きましたが、これの恐ろしいのは、妻によれば「いやいやいや、2週間毎に起きてて、そのたび2週間はしゃべらなくなってたよ。あたしゃ大変だった」ということなのです。


つまり、私は自分に起きていることを正確に把握すらできていなかったのです。


スキーマ療法を進めるにつれ、私の人生を支配していた恐ろしい気分変調(おそらく最初の結婚生活の間もずっとあって、最初の妻のことも苦しめていたであろう)の周期が、だんだんと長くなり、さらに一回の継続日数も短くなっていったのです。


そして、今では全くと言っていいほど気分変調はなくなりました。また、細かな気持ちの波をその都度キャッチしてマインドフルに対処することも、まあまあできるようになりました。


(いま思うと、あの恐ろしい気分変調・イライラの大波はフラッシュバックだったのではないかと思います。あれに認知行動療法やマインドフルネスで対処しろと言われても、私には無理です。)


私はスキーマ療法に大きな手応えを感じ、以後2018年の始めごろまではメインの回復方法(トラウマケア方法)にしていました(何かと言えばスキーマ療法をしていました)。



◆「感情」が動くことの大切さ、再び


2014年当時、私はスキーマ療法と並行してEMDRをやっていたことになりますが、個人的にはそれが良かったのではないかと思っています。


EMDRの記事で書きましたが、EMDRは私に「感情」の存在を教えてくれました。


「感情」はスキーマ療法にとっても重要な要素です。


実は、自分がどんな「早期不適応スキーマ」を持っているかということ自体は、理詰めで考えれば分かってしまいます。


しかし、理詰めで(頭で)考えて特定した「早期不適応スキーマ」についてスキーマ療法のワークをやっても、それほど効果は感じられないのです。


反対に、ワークの過程でいろいろな「感情」が蘇り、心が動くのが感じられたときは、ワーク終了後(スキーマを「処理」した後)のスッキリ感が大きいです。


(ちなみに、親や教員に対するマグマのような怒りが無尽蔵のようにありました。)


この「スッキリ感」はEMDRのそれに近いものがあります。


確かに過去に悲しいことはあったけれど、もはやそれが私に強い切迫感や恐怖を与えることはなく、遠くの記憶になっている。それまでの「嵐」と比べると、奇妙な静けさがそこにはあります。


しっかりと感情(情動)の動いたスキーマ療法の後でも、そのような静けさを感じます。



◆もっと広まってほしい


以下は、ほぼEMDRに対する思いと同じ内容になります。


スキーマ療法がもっと多くの人に届いてほしい。


EMDRやスキーマ療法などトラウマにアプローチできるセラピーが、もっと利用しやすくなってほしい(近くで、安価に、待たずに)。


それに尽きます。


幸い、スキーマ療法には自分で取り組むことができます。


過去のトラウマティックなエピソードを掘り返すことは現在の生活に多大な影響を与えかねないため、安易にお勧めはできません。しかし「生きづらさ」の仲間たちには入門書をぜひ一読してほしいと願ってやみません。



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今日も読んでいただいてありがとうございます。


明日も楽しいことうれしいこといっぱいあるといいですね!





関連記事:回復を早めてくれたものたち⑩ EMDR


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